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殺さない戦場 ~ハクソーリッジ



メル・ギブソンが監督の映画なので、そりゃもう覚悟してみたわけですが、予想を遥かに越えた凄まじい戦争シーンでありました。
いやもうすごいです。
人が吹っ飛びまくる、撃ちぬかれ、生きたまま焼かれ、手足や内臓が飛び散る。
地べたは死体が山のようになって転がり、そこをねずみがはいまわる。
銃や火炎放射器、爆撃、手榴弾などを使ってはいますが、恐ろしいほどの接近戦で、敵味方、お互いの顔が見てとれるような近さ。
そこで行われる戦いの凄惨さは、言葉で語るのは難しい。
そこを離れた兵士たちが、言葉も表情も失ってガクガク震えているだけになるのが理解できます。

「ハクソーリッジ」は、そのような凄惨な戦いとなった沖縄戦で、武器を持たずに47人の兵士を救ったデズモント・ドスを描いた映画です。

前半、ドスのそれまでの人生が描かれます。
人間には、衝動的な殺意が生まれることがあります。
それを実体験として持つドスは、武器を持つことを自分に禁じます。
けれど、それは志願した軍隊で認められることではありません。

武器を持たない。
戦争でそれは、すなわち、軍人として、兵士としての義務や責任を果たすことがないということになります。
当然、ドスはそれをつきつけられる。
彼のそうした倫理感は、同じ隊にいる仲間たちに混乱を招きます。
武器を持たず、戦わないものを兵士、軍人といえるのか?
そういう人間が同じ隊にいることは許されるのか?
除隊を薦める上官たち、暴力と嫌がらせで除隊するように仕向ける隊のメンバーや軍曹を前に、ドスの意志はかわりません。

それを見ていた私もやはり、「戦争へ行くのに武器をもたないとはいかに?」という気持ちでした。
人を殺さない。
それは立派で素晴らしい考えだし、人間として何よりも大事なことです。
けれど、それが戦争となった時、大佐が彼に言ったように、「殺すのが戦争で、武器を持たずに大事なものが守れるのか?」ということになる。
土曜日は安息日だから休むというドスに、大佐は「だったら、日本軍にもそう頼むがいいな」と皮肉を言いますが、世の中とはまさにそうだし、個人的な考えがいかに素晴らしくても、それが通るようなことはありません。
戦争は、殺さなければ、殺される。

それが、戦争が始まってからの後半。
私は、大佐、軍曹、そして隊のみんなと同じ場所で、愕然とすることになりました。
ドスは、すさまじい戦闘の中、次々と負傷した兵士、瀕死の兵士を助けていきます。
応急処置をし、励まし、引きずり、かつぎ、背負い、砲弾砲撃とびまくる中、自分の命顧みず、駆け回る。
味方が撤退した後もひとり残り、山のように残された死体の中で、まだ息がある兵士たちを探して駆けずり回ります。
「神よ、もうひとり、私に救わせてください」と言いながら、疲弊し、自身も血まみれになった身体で駆け回る。

沖縄戦は、激戦でした。
穴倉を利用した戦い方をした日本兵をあぶりだすために、米軍が火炎放射器を使用したのも事実で、恐ろしいほどの勇猛さで応戦した日本兵に、米兵が恐れをなしたという史実もいづこかで読んだことがあります。
沖縄戦については、知識としてありましたが、戦争シーンが始まった瞬間、「近っっっ!!!」と驚愕しました。
銃つかうとか、砲撃使うとかいう距離じゃない。
しかも、そこは、砲弾でぼこぼこになった大地に、死体が山積みになって、そこを兵士たちは乗り越えていくのです。
数多ある戦争映画の多く見てきた私ですが、今回ほど、動揺したのは初めてでした。

重傷を負い、その戦場に残された兵士は、放置されたまま、死を待つしかありません。
どんなに覚悟を決めていたとしても、それはとてつもなく恐ろしいことです。
ドスは、そういう兵士たちを助けた。
戦争映画みて泣いたことなかったのですが、今回、タオル抱えて号泣しました。

デズモンド・ドスはすでに故人ですが、映画の最後に本人の映像が流れます。
彼はこの後、レイテでも多くの兵士を救い、彼が救った中には、日本兵もいたそうです。

戦闘シーンは、CGを使っていないとのこと。
両足を吹き飛ばされた兵士がでてきますが、演じた人は元軍人で、実際に戦争で両足をなくした方だそうです。

もし、ドスが、戦場にでて、あっという間に死んでいたら、この実話はなかったわけで。
ハクソーリッジでもレイテでも生き残り、多くの人を救ったという彼が、あの戦闘の中で死ぬことがなかったのは、やはり神の加護があったからなのか?と、終わった後、思いました。

兵舎でドスといっしょだった人達のほとんど、次々とハクソーリッジで死んでいきます。
あの中で、誰が終戦を迎えられたのだろうかと、そこもとても気にかかりました。

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