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続く人種問題 ~大統領の執事の涙



大統領執事として実在するユージーン・アレンの生涯をもとに製作された映画です。

綿花農場の奴隷だったセシルは、農場主によって父親を殺され、母親が廃人になったことをきっかけに、”ハウスニガー”(家の中で働く黒人)としての人生を歩み始めます。
飢えて盗みにはいったところを、そこで働く黒人男性に救われ、給仕として徹底的に教育を受けたセシルはその後、ホワイトハウスへスカウトされ、そこで執事の仕事につき、代々の大統領に仕える人生を歩みはじめます。

日本人な私には実感としてなかったのですが、奴隷としての経験を持つ人が、オバマ政権にも生存していたというのは驚きでした。
さらに、黒人差別がレーガン時代にも、給与や昇進にあからさまされていたという事実に、衝撃を受けました。

セシルが使えたのは、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガンで、任期は34年。
それぞれの大統領の人柄や人権問題に関わる個人的な考えなど、どこまで実話に基づいているかわかりませんが、大変興味深く描かれていました。
(ちなみに、フォードとカーターに関するシーンはまったくない)

個人的にかなり衝撃だったのは、ケネディ以外の大統領すべて、人種問題に対しては差別を容認していて、それが政策にも反映されていたという部分。
これも、どこまでが事実に基づいているかわからないので、あくまでも映画においてという感想ですが、ケネディ以外の大統領全員、あからさまな黒人差別はないにしろ、明確な区別はもっていて、しかもそれが”自然なこと”であったという部分、かなりショックでした。
それが象徴的に描かれるのは、ホワイトハウスで働く黒人スタッフの給与と待遇で、なんと、レーガン政権になるまで、彼らの給与は白人の半分以下、昇進も昇給もなかったという事実。
レーガンが大統領になったのは1981年で、彼は人種問題には積極的に取り組んだ大統領でしたが、それまで、そんなあからさまな差別がよもやホワイトハウスにあったなんて・・・と、ものすごい衝撃を受けた次第。

じゃあ、それぞれの大統領たちがセシルたち黒人スタッフに対して、差別的な態度をとっていたかといえば、そういうわけではありません。
どの大統領も、彼らの仕事を認めているし、セシルに対しても絶大な信頼をおいています。
ここが、人種差別問題のとても難しいところ。
黒人に対しては、差別区別は当然と思ってるし、当たり前すぎて、「なんでこいつら、いちいちこんなにつっかかってくるんだよ」的な意識でも、セシル個人が、自分のとった言動にどう思うか、どう感じるかというところで考えた時、そこで彼らは初めて、黒人差別問題を個人レベルで考える。
自分が下した判断、自分の考え方が、セシルに対してどういうものになるのかというふうに視点が変わった時、初めて差別というものを自分の中に見ることになるわけで。

レーガン大統領の時に退職したセシルが、老齢になって、オバマ大統領を見るくだり、それがどれほどにすごいことか、アメリカの歴史においてどれほどに革新的なことか、今までとはまったく違う感覚で見ることになりました。
いやぁ、アメリカ黒人の視点から見たら、そりゃもう世界が変わっちゃったくらい、すごいことだったんだ・・・

じゃあこの映画は黒人差別、公民権運動を描いた映画かというと、まったくそうではありませんで。

セシルの長男は、公民権運動に参加し、ブラックパンサーのメンバーになります。
その過激な活動はどんどん苛烈化し、彼らが”自分たちの正義のためなら、何やったっていい”という方向に暴走していく姿も描かれています。
長男が実家に戻った際、伴った恋人は同じブラックパンサーの活動に参加していますが、露出の高い服装で、平然とげっぷをするというとんでもないマナーで、セシルの妻はそれにはっきりと「あんな失礼な女を家に連れてくるなんて許さない」とはっきり言い、父親をハウスニグロと軽蔑した長男に、「お前はそのおかげで、生活し、権利を与えられてるんだ」と激怒してふたりを追い出します。
そして次男は兄に、「兄さんは自分たちの権利ために戦う、俺は自分たちの国を守るために戦う」と言って、ベトナムへ向かう。

なんていうか、ものすごく考えさせられるシーンでした。

歴代の大統領のプライベートな姿も、ちらっと描いていますが、これもとても興味深かったです。
亡きアラン・リックマンが演じるレーガン大統領が、人情に厚く、人間味あふれる人に描かれていて、思わず笑みが浮かんでしまうほど。

アメリカの差別問題、公民権運動については、以前、英語学校の先生だったシルベスターという黒人男性と、かなりいろいろ話し合ったことがあります。
彼は南部出身でしたが、家は裕福で、本人も有名大学を出ており、IT企業で働く普通のビジネスマン、生まれてこのかた、差別というものを具体的に経験したことはないと言っていました。
けれどそのシルベスターが、「でも、僕は確実に差別されている」といって見せてくれたのが、アメリカ人なら全員もっている出生証明書。
そこには肌の色が書き込まれるのですが、はっきりと”ニグロ”と書かれていました。
驚いた私にシルベスターは、「ね?つまり僕らは、生まれた時からすでに差別されたるんだよ」と言いました。
それを、ボストン出身のアメリカ人に話してみたところ、「ニグロというのは、差別用語でもなんでもなくて、ただ色をさす単語ですよ」と笑って言っていました。

違います。
ニグロとは、日本人をジャップ、中国人をチンクと呼ぶのと同じ、差別用語です。

キング牧師が、セシルの長男に語るシーンが印象的でした。
「ハウスニグロと呼ばれる人達は、誠実に仕事をし、人々から信頼を得ている。それは、我々とは違う形での、人種差別との戦いで、彼らはその最前線の戦士たちだ。彼ら自身は恐らく、それに無自覚だろうがね」



拍手コメントのお返事:

22:20の方:

「光のお父さん」、すばらしかったですよね。
マイディーさんのブログには、製作過程も書かれていて、なかなか興味深いです。
エオルゼアのシーンとか、ジョビのメンバーとあらたにとったんだそうです。
ゲーマーとしては、本当にこの番組は奇跡みたいなものなので、毎週見るのが楽しみでしかたありません。
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