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すべての観客が号泣していた ~LION/ライオン~25年目のただいま

アカデミー賞にもノミネートされていた作品、見てきました。
実話に基づいた映画です。

インドの小さな町で母と兄、小さな妹と3人で貧しくも幸せに暮らしていたサルーは、兄といっしょに町に稼ぎに出て、そこで乗った電車に閉じ込められ、遠いカルカッタまで運ばれて路頭に迷うことになります。
街をさまよい、浮浪者な子供となって2ヶ月、偶然出会った青年に救われ、そこからオーストラリアに養子にいき、幸せに成長します。
ところがある日、友人の家のパーティで見たインドのお菓子が、彼の遠い記憶を呼び起こします。
サルーは、自分が迷子であったこと、母や兄が自分を探しているであろうという想いに捉われ、それによって大きく人生を変えていきます。

予告見ると、大人になったサルーが自分の故郷だった場所を探す物語かと思いますが、まったくそういう映画ではありません。
前半、お兄ちゃんとサルーの仲良し兄弟が映し出され、その後は、サルーが街をさ迷い、そこで出会う人々との関わりを描いています。
この映画、この前半がすごいです。

サルーはたぶん5歳くらい。
サルーを超かわいがってる、大事にしてるおにーちゃん、そのおにーちゃんが大好きなサルーが、美しいインドの景色を背景に描かれます。
すべてサルーの視点、視線で描かれているので、視点が低い。
つまり、5歳児の背丈で見る世界が、カメラで描かれています。
そして、5歳児の視点で見る世界なので、説明がありません。
サルーが見たままの世界を、ただ我々に見せてくる。
その世界が、あまりにも過酷で、あまりにも美しく、あまりにも優しい。
カルカッタの街は、とにかく人が多いです。
その中をさ迷うサルー、押しのける人、どつく人もいます。
優しい言葉をかけ、ご飯を食べさせてくれた女性が連れてきた男。
映画にはまったく説明はありませんが、見ている我々には、それが人身売買、しかも性的幼児愛好者への売買だということがわかります。
さ迷うサルーに寝床を分けてくれたストリートチルドレン、サルーをすくってくれた青年、「オーストラリアはいい所だそうよ。あなたはとても幸運ね」と手を重ねてくれた女の子。
それらも、淡々と映像で見せるだけです。

満席だった観客席から、いっせいにすすり泣きが聞こえたのは、サルーがオーストラリアで養子にもらわれていくシーン。
養母役の二コール・キッドマンの演技が、素晴らしすぎました。
「あなたをずっと待っていたのよ」という気持ちを全身で表す演技です。
あふれんばかりの愛と母性に輝く彼女を見た瞬間、劇場内全員、完全決壊しました。
前後左右、全部泣いていた。
私も泣いた。

この部分、前半ずっと、幼いサルーの視線で世界を見せられてきたことが、絶大な効果を見せていると思います。
もう、絶賛の演出と演技でした。

後半は、大人になったサルーが、同じく養子にもらわれてきた弟との間の問題や、本当の母親を求める気持ちに悩む様子が描かれます。
少しづついろいろな事を思い出していくサルーですが、故郷の場所はわかりません。
「2、3日、電車に乗ってカルカッタについた」と言ったサルーに、「だったら、当時の列車の時速から距離を割り出せば、場所は特定できるよ」と言ったインド人の同級生。。。思わず「くっそー、インド人めぇ~」ってなった、数字に弱い私です(苦笑)
→インド人の理数系の才能はかなりすごい

映画は最後の最後まで、席をたたないように。
最後に、これまた号泣なシーンがあります。
この映画、今年いちばんかもしれません。

で、ここでは書いちゃいけないネタバレな感想を隠します。

ネタばれ感想。

悩みすぎて生活崩壊してしまったサルーが、母親のスーに「お母さん自身が生んだ子供なら、こんな苦労はしなかったと思う」と言って謝罪するシーンがあります。
この時、スーがなぜインドから養子を迎えることにしたのか、語りますが。
彼女が父親から性的虐待を受けていたらしい、ということがわかります。
「自分が産む必要があるのか。世界中で、親のいない子供がいる。自分はその子たちの親になろうと決意していた」
このシーンも、二コール・キッドマンが素晴らしい演技をしています。

それから、実母との再会シーンはもちろんですが、実母の言葉があまりにも素晴らしい。
養母のスーに対して、「息子を立派に育ててくれてありがとう」です。

そしてラスト、あんなに弟をかわいがっていたおにーちゃん、亡くなっていたことがわかります。
村の人が、実母と再会したサルーに、「彼は神に召された」とだけ言うんですが。
これがね、いきなりラストでどかんときます。
テロップが流れる直前、おにーちゃんは、サルーが電車に乗ってしまった頃には、電車に引かれて死んでいたってのが出るんですよ。
いや、見ていておかしいと思いました。
あんなにかわいがっていた弟、深夜の駅にひとり置き去りにしていたって、あのおにーちゃんにはありえない。
そうか、あの時には死んでしまっていたんだ・・・・と思って映画館出て、電車に乗って、そこで・・・・

おにーちゃん、魂になって、ずっとサルーを守っていたんじゃかなろうか。
いや、絶対そうだ。
あんなにかわいがっていた弟、ひとりあんなところに残したこと、おにーちゃんは絶対にほおっておくわけがない。
だからこそ、あんな状態になってもサルーは生き延びたに違いない。
人身売買されそうになった時、咄嗟に逃げ出したサルー、絶対におにーちゃんがサルーの心に呼びかけたんだ。
あんなに大好きだったおにーちゃんの魂の言葉だから、サルーはちゃんと反応できたに違いない。

・・・・・・・・・・・ってなって、電車内で崩れ落ちて、大声あげて泣きそうになりました。

実は、そう思わせるシーンがちゃんとあります。
サルーが事故で怪我をしたのを、お母さんが「あなたの弟なのよ。ちゃんと見ていなければだめでしょう!」って怒るシーンがあるんですよ。

おにーちゃん!!!(号泣)

映画は、そのおにーちゃんに捧げられています。

いやぁ、もうねー、終わった後、みんなちょっともう、泣きすぎてるよねって感じでした。
ちなみに、泣かせる映画じゃありませんし、そういうシーンを作っていません。
台詞もありません。
演出と演技、映像で語りかけてくる映画でした。

子供のサルーが、あまりにもかわいらしくて抱きしめてしまいたいくらいなので、そこも見所です。

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