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見た者すべてを地獄に叩き落す怪作~哭声/コクソン

2017.03.13 (Mon)

ホラーマニアな方々が声をそろえて大推薦していた韓国映画「哭声/コクソン」、見てきました。
一般受けはしない映画なので、関東圏でも上映館はとても少なく、いつまで上映しているかわからないので、初日定額で観ましたが、なんとほぼ満席。

地方の山村で、連続殺人事件が起こりますが、犯人はそれぞれ被害者の家族。
現場はどれも血まみれで凄惨な状況、犯人は全員、得たいの知れない皮膚病を患っており、恐ろしいほどの凶暴になっているという共通点をもっていましたが、原因は不明のまま。
人々の間で、「事件には、山奥にひとりで住む日本人が関わっているらしい」という噂が流れ出します、
そんな中、事件を調査する警官の娘の身体にも、犯行に及んだ人々と同じ皮膚病の兆しが現れます。

子煩悩で平凡なひとりの警官が、地元に起こる得たいの知れない血なまぐさい事件に、「いったい何がおきてるんだ?」と疑問に思いつつ、妻、母、娘と平和に平凡に日々すごす生活が描かれますが、娘の身体に加害者たちと同じ皮膚病が現れ、凄まじい凶暴性を見せ出すあたりから、一気にホラー感が増します。

それまでは、人々の噂に「何言ってるんだ」という冷静な態度を示していた彼が、得たいの知れない日本人が原因らしいという噂に捉われ出し、悪霊に憑かれているという霊媒師の言葉を信じ、それは呪いなんじゃないかという言葉に、謎の日本人を原因だと確信するまでの流れは、明らかに常軌を逸していくようにも見えますが、目の前に繰り広げられる凄惨な事件と、それと同じ状態になった娘を前にした父親の彼がそうなってしまうのも無理はないという見事な演出。

「シン・ゴジラ」でも名演を見せた國村準が演じる謎の日本人、強い力を持つ霊媒師、日本語の通訳を勤める見習いの神父、事件の現場に現れる謎の女が、主人公の警官にそれぞれ違うことを語ります。
村の人々が語ることも、真実なのかどうかわからない。
警官は何を信じ、何が本当かわからなくなる中で、娘を救いたい一心で東西奔走し、その結果、彼自身が狂気の世界へと足を踏み入れることになっていく。
そして後半、怒涛の展開。
もう、呼吸するのも忘れるレベルでした。

いやぁ、もう、なんていうか、地獄を通り抜けたらまた地獄、しかもどんどん深い地獄に落ちていく・・・みたいな映画で、終わった後、そこにいた人全員放心状態って映画でした。
ひじょうに難解で、しかも観ている我々も何が真実かわからないまま(ラストはきっちりあるので、物語としてはまとまってる)放置されるし、「じゃあ、あの時のあれはなんだったの?」とか、「誰が真実を言ってたの?」とか、疑問や疑惑が残されるので、「全然意味わからなかったよ」って人もけっこういたようです。
しかし実は、それがこの映画の最大の恐ろしさでもある。

いきなりふってきた恐怖って、たいていは何がなんだかわからない。
意味なんてない。
だからこその恐怖で、何が本当で、何が真実で、何がおきてるのかなんてわからないからこそ、怖いわけで。
人によっては「先祖の呪い」っていうのを信じるだろうし、「物の怪が出た」を信じる人もいるだろうし、「神様の罰」を考える人もいるでしょう。
実際、おきてる怪異の理由や真相なんて、我々にはわからないわけです。

さらにこの映画、社会における恐怖も描いています。
小さな村で起きる怪事件に、よそものが吊るし上げられる。
「あいつが犯人だ」という噂に、何の根拠もありません。
霊媒師が「これは凶悪な物の怪の仕業だ」と言ったことを、即座に「あの日本人に違いない」と襲撃にいく人々。
それは悪霊とは違う、別の恐ろしさがあります。

この映画、キリスト教、新興宗教、土着信仰、心霊、物の怪、凶悪殺人、奇病、ゾンビと、とにかくありとあらゆるホラー要素ぶっこんできていて、しかしまったく違和感がなく、そして、今まで見たこともなかったような恐怖を生み出しています。
しかし、見終わった人たちの中には、「これ、ホラー映画だったのか?」と疑問を持つ人も多数。
すさまじい恐怖と狂気を描いていながら、観た人に残されるのは、”疑問”のほうが大きい。
そして、その”疑問”すらも、さらなり恐怖につながるオソロシ展開です。
そっちの向きで知識がある人だと、そこに秘められた意味がわかって、「!!!」ってなるシーンも多く、一瞬見せるシーンに「!!!」って箇所があったりで、緻密に作られているのがわかります。

監督は、「自分をとりまく社会を描きたかった」そうで、長い時間をかけて脚本を作り上げたそうです。
俳優陣も素晴らしい演技で、ただホラー映画として片付けてしまうにはもったいない、重厚な映画でした。

とはいえ。

すさまじく後味悪く、ホラー耐性弱い人だと、ガチで夜眠れなくなるレベルで怖い映画です。
血に弱い人とかは、絶対に見ちゃだめ。
あと、こういう言い方すると不快に思われる方もいるとは思いますが、わかりやすい映画が好きな人だと、「なにこれ?意味わかんないし」とか激怒モードはいる、「てめぇの頭で考えろ」な映画なのでまったくお勧めしません。
逆に、ホラー好きな人には、「何があっても絶対に見るべし!」と、超推薦します。
あと、カップルでいったら地獄見るだけで終わるので、やめたほうがいいです。

個人的には現時点で、今年いちばんの映画となりました。
もう一度みたいレベル。
韓国ホラー映画、すげーです。
未だに頭から離れません。

もう一度言いますが。

生半可な気持ちでみにいったら、数日、悪夢にうなされると思うレベルの映画なので、覚悟をもって見に行ってください。
それでいったら、期待以上のものが見れます。

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10:03  |  映画  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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