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それはあまりにも悲しい現実の物語 ~ヒトラーの忘れもの

第二次大戦終戦後、デンマークに残された地雷の撤去を、ドイツ捕虜兵士となった少年兵たちが動員されていたという実話を映画化したものです。
この映画の舞台は、美しい浜辺。
連合軍を上陸させないために、とてつもない数の様々な地雷が埋められていました。

地雷撤去のための訓練を受けた少年たちは、チームにわかれて、各地に派遣されます。
食べ物も与えられず、ひたすら浜辺に寝そべって、命賭けで地雷を撤去していく。
「全部撤去したら、ドイツに帰す」と言われた言葉を信じて、過酷な日々をぎりぎりの状態で生き延びていきます。

彼らを指揮する軍曹がいかなる人物か、映画の中ではほとんど描かれていません。
少年たちを殴り、罵倒し、体調を崩してふらふらの少年を休ませることもなく、少年たちを浜辺へと送り出します。
しかし、彼がただの愚かな人でなしでないことは、見ている我々にすぐにわかります。
軍曹は、彼らがまだ子供で、戦争やヒトラーの責任を負う立場にないこともきちんと理解しており、彼らの足蹴にするようなことはしません。
けれどそれは、自分の国を蹂躙し、多くの罪なき人々を虐殺したナチスドイツに対する憎しみと相容れることはなく、軍人として彼がまっとうしなければならない責務と対立することになります。

この映画は、情に訴えることをまったくしていません。
戦争という状況がなくなった時、人は敵、味方というカテゴリーを失います。
その後には、人と人との関わりだけが残る。
そうなった時、かつては敵国の兵士だった少年たちは、ただの”男の子”たちに戻ります。
彼らは軍曹にとって、”ただの普通の子供”です。
しかし、少年たちは、”ただの普通の子供”であることを失っています。

少年たちは、兄弟を、友人を、仲間を次々と失い、心を削られ、希望を失っていきます。
爆発の後、何も残さずに消えた少年の存在が鮮烈で、吹き飛ばされた少年の姿を探し求めて半狂乱になる別の少年の姿があまりにも痛ましい。
静かで美しい浜辺の情景の中で、爆発の炎だけが赤く、爆発の煙だけが黒く、その後には何も残されていないという現実が、見ている我々の心をえぐります。

生き延びた少年たちが次に送り込まれた、さらに過酷な場所で、そこに立つ少年たちの表情は、恐らくこの映画を見た人全員の心にすさまじい衝撃を与えます。
彼らには、身体を四肢散々して死ぬだけの運命しか残されていません。
この映画のラストに描かれたのは、作った人々や見ている我々の願いであり、希望であったと思います。
それはつまり、現実には決してありえなかったであろう、少年たちの運命でもあるでしょう。

涙が出るとか、泣くとか、そういうのを超えた映画でした。
近くの席にいた女性が、耐え切れずに声をあげて泣き出し、映画終了後、年配の女性が映画館のスタッフに「この映画は、もっといろいろな人が見るべきだろう」という話をしていました。
地雷撤去に借り出されたドイツ兵は約2000人、その半数以上が爆死、もしくは手足を失いました。
動員されたドイツ兵の多くが、少年兵であったことが、映画のしめくくりとして書かれています。

「奴らはドイツ兵だぞ」と言った上官に向かって、「死に掛けて、母親を呼んでいた。まだ子供だ」と返す軍曹。

この実話は、デンマークでも長い間、隠されていた話と書かれていました。
生き残ることができたドイツ人少年兵たちは、今、どうしているのだろうかと、パンフレットにある彼らの姿を見ながら、ふと、思いました。

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