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邦題大間違い ~ハドソン川の奇跡



もうね、なんでもかんでも感動もの、お涙頂戴系にしたがる日本の体質、いい加減にやめてもらいたいもんですよ。
「ハドソン川の奇跡」、原題は「サリー」です。
はっきりいって、奇跡を描いた感動大作ではありません。

私もニュースで見たので記憶に残っていますが、異常事態で飛行不能となった飛行機がハドソン川に不時着した事件を映画にしたものです。
機長の顔も覚えていますが、トム・ハンクスがよく似せてます。

乗客155人全員無事だったこと、わずか24分で全員が救助されたこと含め、世界的に注目を浴びたこの事件、機長のサリーと副操縦士は、判断ミスを問われて公聴会に出ていたという事実が、この映画のメイン。

両エンジンが完全停止していなかったのではないか、危険を冒して川に着水しなくても、ラガーディア空港に十分戻れただろうという意見が出るのとは正反対に、世間はサリーを英雄として称えます。
ところが、サリーはそのどちらにも、違和感をもっているし、良しとしません。

エンジンは止まっていた。
ラガーディアに引き換えすのは無理だ。
その判断はどこから出たものですか?という問いに、サリーは「長年の経験からの判断」と言います。

英雄と称える人々を前に、サリーの脳裏には、墜落の恐怖と乗客への責任がフラッシュバックする。

この映画、地味です。
大変地味。
墜落か?っていうシーンですら、淡々としていて、まるでドキュメンタリー見てるようです。
すごい感動シーンもないし、エモーショナルな演出もない。

けれど、淡々と描かれる映画の中で、何気ないシーンがものすごく重く、そして印象的です。
墜落か!となった瞬間、「愛してる」と言い合う母と娘。
別の席に座る息子を心配する父親。
異常事態を知っても笑顔のまま、冷静にずっと「頭をさげて、伏せて」と号令かけ続けるCAたち。

赤ちゃんを抱いた若いお母さんがちらっと出てきます。
冒頭、その赤ちゃんが投げたものを、窓際のビジネスマンが拾ってあげるシーンがある。
墜落か?という時、不安と恐怖で蒼白になっているお母さんに、そのビジネスマンが「私が抱いていましょう、私が抱いたほうがいい」と言います。

御巣鷹山に墜落した123便で見つかった遺体の中に、子供をかかえるようにして抱いた真っ黒に焦げた遺体が見つかっています。
当初、焦げた死体はひとりと思われていましたが、検死でふたりと判明、その後、ふたりは親子ではないとわかりました。
子供の遺体は、抱いた大人の身体にめりこんでいたと、報告に残っています。
その人たちが誰だったか、記載はありませんでした。

墜落となった時、見知らぬ他人の子供抱きしめ、守ろうとした人がいた。

「ハドソン川の奇跡」でも、それが描かれていました。

公聴会で、議長がすごいことを言っています。

「ボイスレコーダーを、機長と副機長と共に聞くというのは、初めてのことです」

そう。
ボイスレコーダーを聞く時、機長と副機長はすでに故人なのです。
ボイスレコーダーを聞くことになった過去の事故すべてで、ふたりとも死んでいるのです。

そして最後に、機長と副機長が言い合う言葉。

「仕事をした」

短いこの言葉に、どれほどの重みがあるか、あらためて考えていたりします。

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2 Comments

矢野トール says..."Re: 今日観ました。"
映画、よかったですよね。
とても地味ですが、イーストウッド監督らしい骨太な映画でした。
2016.10.11 09:02 | URL | #- [edit]
はるか彼方 says..."今日観ました。"
素晴らしい感想文ですね❗
わたしの言いたい気持ちが全部詰まっていて
感激です!
2016.10.09 23:31 | URL | #6.z/VBKA [edit]

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