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そんなつもりじゃなかった ~殺人者たちの午後



イギリスは死刑がないそうで、死刑に該当する刑罰は終身刑だそうです。
この本は、その終身刑を受けた人々をインタビューしたものをまとめた本で、オーラルヒストリーと呼ばれるのだそうです。
終身刑といっても、中には仮釈放されて保護観察中の人も数人います。
ただし、彼らはあくまでも終身刑なので、生涯保護観察の身で、逐次すべてを報告しなければなりませんし、何かあればすぐさままた収監される身です。
やっと得た仕事の雇用主にも、つきあいが始まった恋人にも、自分が殺人犯で終身刑の身であることを言わなければなりません。

この本に収められている人々は、全員ブルーカラー出身の人たちでした。
イギリスのブルーカラー層の人たちは、我々日本人が考えるのとはまったく違っています。
イギリス(というよりは欧州)は、かなり明確で完全な階層社会で、生まれた家によって職業や教育も違ってきます。
もちろん、そこに生まれたから犯罪に走るというわけではありません。
ただ、犯罪に走る率は高いと言えます。

自分を語る時、彼らの言葉は基本的に穏やかで、そして淡々としています。
殺人を犯すような人とは思えないような人もいます。

ただ、すべての人に共通している部分がありました。
「殺すつもりはなかった」という言葉を、すべての人が言っています。
中には、殺した記憶がない人、あるいは改ざんされてしまっている人(自分の記憶の中では、殺したことになっていない)もいました。
しかし、インタビューを受けて、克明につづられたその中に、彼らがいかに確実に、意図的に、殺意をもって人を殺すに至ったかが書かれています。
それは、本人も気づかない、何気ない部分に、はっきりと言葉になって書かれていました。

ほぼ全員に共通しているのは、崩壊した家庭で育っていること、きちんと教育をうけていないこと(本人が自分から学校をやめているケース多数)、社会通念や理念、モラルの基盤が薄いことです。
同じ環境、状況で育っている彼らの兄妹が、まったく犯罪に手を染めていないケースも多いです。
つまり、環境によって形成されてしまった部分はあるにしても、犯罪に至る根本的原因は、本人の持つ何らかの性質、気質によるものだというのがわかります。

インタビューを受けている人たちは、基本、現在更正の道を歩んでいます。
とはいっても、収監され、保護観察で厳しい監視の中で生活していることが、彼らの衝動を抑えるストッパーになっているのは確かで、さらに、ストッパーのある中での世界では、彼らの暴発を誘発させるような事態は起こりにくいわけで、つまり、完全に管理された中だから、“もう、何も問題ないように見える”だけなのも事実だったりします。

数人が、「死刑がないから、死は免れている。しかし、終身刑というものは、ゆるやかに死に向かう道を、意味なく消費する日々をすごすことだ」というようなことを言っています。

罪を憎んで人を憎まずといいますが、この本に出てくる人々は、祖父、警官、友人、妻、自分の子供、まったく見知らぬ行き連りの人を無残な形で殺めていて、中には、6歳と3歳の子供を誘拐し、性的な暴行をした挙句、惨殺した人もいます。
彼らがもし自分のそばにきて、「罪はもう悔いました」と言ったとして、それを笑顔で受け止めて、自分の同僚、自分の友達として、自分の家に招き入れる人は、果たしてどれだけいるか。

ひとりだけ、本当の意味で更正の道を歩き出した人がいます。
その人が真実、自分の犯した罪を受け入れ、それに向き合い、殺人を犯した自分としての人生をあらためて歩き出すに至るきっかけになり、そして支えになったのは、神の存在でした。

それはとても象徴的な現実だと、読んでいて思いました。


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