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アニメとGAMEとマンガな日々

海の向こうで暮らしてみれば  

「海の向こうで暮らしてみれば」という番組が昔ありました。
調べてみたら、20年も前の番組だった。
日曜日のお昼前に放映されていたドキュメンタリーで、外国でひとりがんばる女性たちを取材した30分くらいの番組だったかと思います。

当時はまだ外国にひとりで住むって人はそうまだ多くなかったように思いますし、もちろん身近にもいませんでした。
彼女たちが外国に行ったきっかけ、住むきっかけになったのはそれぞれ違いますが、共通するのは、笑顔がとてもすてきだったこと。
語る未来が、とても輝いていたこと。
そして、異国でひとりでがんばることの大変さを、垣間見せてくれて、けれどそれを乗り越えてがんばっているのが伝わってきたことです。

ひとりはイタリアに美術を学びに行った人。
よくある外国にいくようなアグレッシブな感じではなく、地味で控えめ、寡黙な女性でした。
確か、美術品修復技術を学ばれていた方だと思いますが、理想と現実のギャップ、自分の力の足りなさ、どこまで自分ができるのかわからない将来への不安など、外国でひとりでがんばる大変さや難しさ、孤独などを率直に見せてくれた感じで、見るからに真面目な彼女の真摯な姿がとても心に残りました。
最後の日、スタッフの方たちが「僕たちはこれで帰ります。これからもがんばってくださいね」と彼女に挨拶した時、その人が突然、涙をぽろぽろこぼして泣き出したのが、とても心に残っています。
あの涙を見て、外国でひとりで暮らすことが、どれほどのものなのか、見たような気がしました。

もうひとつは、メルボルンの画廊に勤めている人。
もとは航空会社のCAだったのを辞め、ワーキングホリデーか何かを利用して渡豪、1年でそれが終了して帰国直前、たまたま雨宿りした画廊の人に薦められてその画廊で働くことになったという人でした。
彼女の身におきたことは、何かに導かれていくような流れがあり、人は在るべき場所、いくべきところへと歩いていくんだという大きな物語がありました。
ご本人も、「こんなふうになるとは思ってもみなかった」と言っていて、いつかアボリジニの美術を日本に紹介したいという夢を語っておられました。

それからだいぶだって、国立美術館で行われたエミリー・ウングワレー展で、なんと彼女の名前を見ることに。
その企画を行ったのが、まさにその彼女でした。
テレビ放映からだいぶ経っていましたが、彼女はしっかりと、着実に夢を現実にする道を歩いていたのでした。

この番組、ネットで調べてみると、好きだったという人がとても多くて、今も心に残している人がたくさんいることがわかりました。
私自身も、短いながらも海の向こうで暮らした経験を持つようになりましたが、その最初の部分にあの番組があるように思います。
今あらためてまた見たいと、本当に心から思っているのですが、残念ながら、DVDも出ていないし、動画も残されていません。

今日本では、海外に在住する日本人女性を取材した番組がやまほどありますが、そのどれもが、「海の向こうで暮らしてみれば」を超えることはないです。
最近作られている番組は、安っぽい演出しすぎだし、テンプレートな取り上げ方しかしていない。
せっかく取材している彼女たちの心の根本に触れるまで、至っていないようように思います。
ダサい、安易なお茶の間番組になってしまってる感じがする。

「海の向こうで暮らしてみれば」は、余計な物語を作ることもなく、彼女たちの過去話を延々語るわけでもなく、ただ淡々と彼女たちの生活を見せ、彼女たちの視線を追い、彼女たちが語る言葉を映像にしていたように思います。
余計な演出も、タレントたちのコメントもいっさいありませんでした。
時々、言葉を失ったり、何も語らずに何処かを見つめる彼女たちの真摯な姿だけを映していた。

自分が外国で暮らし、ひとりで外国に旅するようになって、あの時あそこに出ていた女性たちの気持ちが少し理解できるようになりました。
海の向こうで暮らすことは、たぶん当時よりはずっと簡単で楽になっているように思います。
でもおそらく、ひとりでそれをしようとする女性はまだそう多くはないでしょう。

「海の向こうで暮らしてみれば」を見て、静かに心に明かりをともした女性たちがいたんだろうと、今、思います。
ああいう番組が作られることは、もうないかもしれません。
本当に素晴らしい番組だったなぁと、今も思います。
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Posted on 2016/02/23 Tue. 10:52 [edit]

category: TV

tb: 0   cm: 2

コメント

Re: 共感しました

コメントありがとうございます。

ナビゲーター、別所さんでしたか。
確か、シリーズ2期があったかと思いますが、ちょっと企画が変わってしまっていて、1期にあったような真摯な感じがなくなってしまって、視聴率もまったく取れなかったという記事をどこかで見たことがあります。
当時出演されていた方は、もう40代とか50代超えていらっしゃると思いますが、今はそれぞれどうしていらっしゃるんでしょうね。。。


URL | 矢野トール #-
2017/03/24 09:31 | edit

共感しました

私もその番組が大好きでした。今で言うナビゲーターの別所哲也さんの雰囲気もぴったりマッチしていて。日曜義の午前は必ず観ていました。

海外の雰囲気やビジネス、ステータス 、そしてBGM(ビートルズのwomen)。あの当時の思春期の私にはとてつもない影響がありました。

あの時の女性たちの今を少しだけ見てみたいな思ってしまいます。

URL | no name #-
2017/03/22 20:48 | edit

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