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神のいない場所で ~サウルの息子

あっちこっちで絶賛の声高く、小島監督も「2016年いちばんの傑作」と言っている映画「サウルの息子」見てきました。

アウシュビッツ・ビルケナウ収容所でゾンダーコマンドとして強制労働従事しているサウルは、ガス室で殺された中に自分の息子を発見、ユダヤ人として正式な埋葬をさせるために奔走するという物語です。

・・・・物語は本当にこれだけなのですが、この映画、筆舌しがたい壮絶な映画でした。

画面は通常の映画の半分以下、正方形に近い枡型です。
そこには基本、サウルの顔のアップしか映されません。
周囲の様子は、広角カメラで撮影されたみたいにぼやけていて、色や形状、聞こえてくる声や音で推察する形になります。

冒頭シーン、大アップになったサウルの顔、彼が看守に言われるままに、人々を誘導し、部屋に集めることがわかります。
そしてその後、扉が閉じらる音がして、突然そこから、人々の苦痛のうめきと悲鳴、断末魔が響き渡り、それといっしょに壁を叩くすさまじい音がこだまします。

ガス室におくられた人々の最期であることが、見ている我々は突然気づかされる。

遠くに見える白い塊の山、何かが次々と引きずられていく音、銃声、悲鳴、積まれた衣服の山、処理される灰。
それがいったい何なのか、私たちは “知って” います。

サウルは終始、無表情です。
背中にゾンダーコマンドのx印が書かれた服を着ています。
その彼が、死んだ息子の正式な埋葬のために、収容所内を、ラビ(ユダヤ教の神父な立場の人)を探してまわります。
注: ユダヤ教は土葬が必須。火葬すると、魂はよみがえることができなくなるといわれている

映画を見た多くの人が、壮絶にダメージをくらっているらしく、Twitterやブログでそれを書いている人がたくさんいました。
残虐なシーンも残酷なシーンもありませんが、生半可な気持ちで見ていると、おそらくとんでもないくらいダメージ食らうほどの衝撃を持つ映画です。
見終わった後、呆然とするしかありません。

サウルの息子らしき少年は、ガス室で死なず、生き残ります。
看守/医師の手で窒息死させられますが、サウルはそれをただ見ているだけです。
それは、ものすごいいびつな違和感を感じるシーンでした。

解剖のために医師のところに送られた遺体を、サウルは盗み出し保管して、命賭けでラビを探します。
しかし、仲間は言います。
「お前には息子なんていない」
それに対してサウルは、「妻との間の子供じゃない」と答えます。

私は見終わった後、あの子供はサウルの息子ではなかったんだろうと思いました。
地獄なんて表現すら陳腐になってしまう、あの場所で、生きたまま死んでいたサウルにとって、あの遺体はよすがでもあり、希望でもあり、そして贖罪でもあったのかもしれないと、思いました。

見終わった後、かなり放心しましたが、立ち直れないくらいのダメージを受けることはなく、ただ衝撃があまりにすごかったので、家で寝転びながら、他で見た人たちの感想をいろいろ見ていました。
そこで、Twitterにあるポストに、こうありました。

「あんな使命感を十字架のように背負わざるを得なくなった人生を、死後、この世じゃないどこかで思いかべた時、こんな風に周囲がぼんやりした画が浮上してくるんじゃないだろうか」 by YUさん

それ見た瞬間、堰ががーっと壊れて、いっきに涙が出てきました。

すごい映画でした。

これから見ようと思っている人は、覚悟していってください。
魂の底に、思いっきり杭を打ち込まれます。
見終わった後、呆然とする自分が残されます。

絶対に見るべき映画です。

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