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それは家族の証 ~黄金のアデーレ 名画の帰還



ミュシャ見にプラハまで行きましたが、基本、私は絵画に関する知識薄いです。
アデーレも、クリムトの絵だというのは知っていましたが、こういう背景があるとはまったく知らずに見ました。

戦後のオーストリアを代表する名画“黄金の女性”は、実はユダヤ系実業家の妻の肖像画で、本来の持ち主であったブロッホ=バウアー家の人々はナチに追われ、絵は没収されていました。
本来、その遺産を引き継ぐべきであった姪のマリア・アルトマンは、命掛けで夫と共に亡命、アメリカで暮らしていましたが、ナチに奪われた絵画が元の持ち主に返還されることが可能であるというのを知り、弁護士になっていた友人の息子に相談します。

この映画に描かれているのはすべて実話で、マリアから相談を受ける弁護士ランディは、あの作曲家のシェーンベルクの実の孫という、なんかすごい家系図がありますが、みな、ナチに追われて亡命した人々の親族です。

本来ならば、自分が在るべきだった“祖国”、けれど、そこは祖国であると同時に、自分たちの親兄弟に石礫を投げ、収容所に送り込んで殺した人々がいる国でもあります。
「最初は金のために引き受けた」と言うランディが、なぜ、人生を賭けてこの訴訟に取り組むことになったのか。
彼が、会うことのなかった祖父母や親族がどのような最期を遂げたのかを、現実に目のあたりにするシーンは、過ぎていく時の中に埋もれてしまう大事な、とても大事なことをあらためて思い出させるシーンでもありました。

有名で素晴らしい美術品は、マリア・アルトマンにとっては家族の思い出につながる大事な遺品であり、最愛の伯母が残したたったひとつのものでした。
彼女は、オーストリアという国を相手に、その家族の遺品を取り戻すために、戦いを挑みます。

館内、あちこちですすり泣きが漏れる状態。
私の隣の年配の女性は、号泣していました。

ヘレン・ミレンが素晴らしい演技で、何十年もの時を経て伯母の絵を見た時の表情や、一国を相手に誇りを失わない、決して折れることのない不屈の精神を持つ凜とした雰囲気を見事に演じていました。
ヘレン・ミレンは、「RED」ではセクシーなおばあちゃま暗殺者を演じていた女優です。
私、大ファン。

マリアが夫と逃げる時、明らかにユダヤ人とわかっていて、さりげなく助けてくれる人達がいました。
ふたりが飛行機に乗るときの出国を担当していた兵士も、恐らくわかっていたと思います。
それがラスト、ずっとマリアとランディを助けてくれた雑誌編集者が、なぜ、そこまでしてふたりを助けたかという理由につながります。
その人がその「なぜ?」を語った時、耐え切れなくて、泣きました。

誰も勝てないと言っていた勝負に、マリアとランディは勝ちました。
それが何を意味するのか、マリアが最後に見せる回想シーンが、言葉なくすべてを語っているように思いました。

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