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高慢と偏見

ふと思い出したこと。
何年か前にニューヨークに行ったときのことです。

ユニオンスクェアっていうところがあって、いわゆる学生が多い場所です。
なので、若者向け、学生向けの価格の店もけっこうあって、ネイルの店も安い店がけっこうありました。
日本だと、軽く1万とか超えるのが普通ですが、アメリカは凝ったものでなければ安く出来て、私と友人がはいった店も、2千円くらいからやってくれるところでした。

アメリカでネイルといえば、スタッフはベトナム人や韓国人が多いです。
日本人がやってる店は、技術も高く丁寧なので、けっこう高い。
高級サロン系のところだと、モデルみたいなスタッフがやってたりしますが、値段も相当なものになります。
私たちがはいったのは、珍しくスパニッシュ系の人が経営のお店でした。

友達の担当になったのは、南米から来たのがはっきりわかる、熟練のおばさまでした。
で、私、、、ってなって出てきたのが、なんと、中国人のおじさん。
オシャレとかかっこいいとか、そんなの全然なくて、ごくごく普通のおじさんでびっくりしました。
だって、美容院でネイルやってる店ですヨ。

びっくりしてる私に、店のオーナーらしき女性が、「彼は熟練のスタッフだから大丈夫よ」と笑いながら言ってきましたが、実際おじさん、とても丁寧でした。

気さくな人でしたが、なんと、ほとんど英語ができない。
でも、一生懸命話しかけてきてくれて、なんとか交わした会話で、出稼ぎでアメリカに来ていて本国にいる家族に仕送りしていて、娘さんが日本に留学したというのがわかりました。
「日本の歌、知ってるよ」と言って、ネイルしながら、さくらーさくらー♪って歌ってくれて、「日本は素晴らしい国だ、人はみな、君のようにきちんとしていて親切で丁寧、食べ物もおいしくて、景色もきれい」と言い、「いつか、桜を見にいきたいなぁ」と言ってました。
ちょっとアトピーが出ていた私の手を、「痛い、痛い、赤くなってしまって、女の子なのにかわいそうに」と、たどたどしい英語で言いながら、丁寧にマッサージしてくれました。

終わって、ソファにかけて友人が終わるのを待っていたら、その前でネイルしてもらっていた女子大生が、スタッフにものすごい上から目線でありえない失礼な態度を取ってるのに気がつきました。

「あなた、私の手をさわるんだったら、ちゃんと手を洗ってからにしなさいよね」
「ちょっと、なんなのよ、もっと丁寧にやりなさいよ」

高級サロンならまだしも、2千円とかでネイルしてくれる店で、しかも学生の身分で何えらそうにしてんねん!と思って見てたら、目が合った私に、「東洋人までネイルしにくるなんてね」とか言ってきて、「こいつアホじゃねーの?」とか思いました。
ちなみに、金髪の白人女性。

少しして、閉店の時間が近づいているので、会計をしてほしいと、スタッフがお客さんたちに声をかけてきました。
そしたらその大学生、ものすごい顔をして、「私に命令するとか、何様なのよ!たいした店でもない癖に、えらそうな態度ね。そんなに払ってほしければ、バッグの中にカードがあるから、私の変わりに出しなさいよ」と言いました。

スタッフ全員、そりゃもう、あからさま嫌な顔をしました。
そりゃそうだ。

そしたらそこに、さっき私のネイルをやってくれた中国人のおじさんがやってきて、笑顔で彼女のバッグを指差し、自分がカード出しますよーってジェスチュアしました。
女性は不機嫌露な様子で、彼がそのまま彼女の前でバッグを開き、彼女の言うとおりに財布からカードを出し、レジにもっていって会計をしてバッグを元に戻すのを見ていました。
おじさんはその間、ずっと笑顔で、さっき私と話していたのと同じように、楽しそうにすべてをやって、礼を言うどころか、「盗まれるかもしれないと思って、気が気じゃなかったわよ」とかヌカした女性をよそに、もとの席に戻って、何事もなかったように新聞を読み始めました。

ああ、この人はあの女子大生の差別や高慢、偏見なんて、全然気にしてないんだ。。。って思いました。

出稼ぎの中国人がどんなに大変で厳しい状況で、ニューヨークで仕事をしているかは、少なからず知っています。
おじさんは英語もほとんどできないし、本当に大変な経験をたくさんしてきたのだと思います。
その中で、あの笑顔を失わず、優しさを失わず、平静を保つのには、いかなる心がそこにあるのかと思ったら、涙が出そうになりました。

友達が終わって私のところにやってきたら、おじさんが笑顔で暖かいお茶を私たちに出してくれました。
ジェスチュアで「おいしいから飲め飲め」って言ってるのがわかったので飲んだら、とてもおいしい中国茶でした。
オーナーがそれに気がつき、「あら、彼がそのお茶を出すのは、気に入った常連さんにだけなのよ、あなた、よほどに気に入られたのね」と笑いながら言ってきました。
店を出る時おじさんは、「さくらーさくらー♪」ってまた歌ってくれて、手を振ってくれました。

店を出て友達と、「あの失礼な女はなんなんだ!!」って話になりました。
友達は、「あのおじさん、トールちゃん見ながらすっごくうれしそうにしてたけど、もしかしたら、娘さんのことを思い出していたのかもしれないねぇ」と言い、「あのおじさんの態度は、尊敬に値した」と言っていました。

おじさんは、あの女子大生が撒き散らした差別や偏見も、彼に向けて放った悪意も、いっさい受け取りませんでした。
まるで、わがままな女の子が駄々こねてしようがないねって感じで、「はいはい、おじさんがやってあげるから、静かにしてなさい」って感じで対応していました。
その態度には、不遜なところも、我慢してるような様子もいっさいありませんでした。

「私、あのおじさんからいっぱい学んだことある。すごい人だった」と私が言うと、友人も「私もびっくりした。ああいうふうに出来る人間にならないとだめだって思った」と言いました。

公共の場であからさま失礼な態度を取っている人がいると、あのおじさんのことを思い出します。
おじさんが塗ってくれたのと同じ、真っ赤なネイルを見ると、あの時のことを思い出します。

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