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まごうかたなき傑作だった ~かぐや姫の物語



たぶん、あっという間に上映終了するだろうというおおかたの意見もあって、公開早々に見てきました。
高畑監督の14年ぶりの監督作品だそうです。

率直な感想。

ここ数年のアニメ作品の中でも、群を抜いての傑作なので、アニメが好きという人は見ておいたほうがいいです。

ただし。

物語は竹取物語そのままで、作りも地味です。
派手な演出も、驚くような展開もありません。

なので、ラノベ的展開や、いまどきはやりのナントカカントカが好きな人は、見ないでください。
面白さや良さの欠片も感じないだろうし、時間とお金の無駄になります。

私は予告の、赤ちゃんの動きにものすごく驚き、アニメでここまでの描写ができるのか!!と感動して、公開を楽しみにしていました。

その期待は裏切られることはなく、むしろさらなる感動と驚きにかわりました。

すごいです。

人間の動き、髪の動き、動物や自然の動き、もっちりとした赤ちゃんの身体、十二単を着た女御のしぐさ、走る童女、姫の表情、悲しみに打ちのめされた翁の目。

ここまですごい、作画と動画を、今見ることが出来て幸せです。
すごいです。
本当にすごい。

物語も、天女だった姫が、心から望んだ“人として生きること”を自ら否定してしまうことの悲劇がとても繊細に描かれていました。

天からの授かりものとして大事に育てた娘の成長とともに、親心としての翁の期待と、娘の幸福を願う想いはふくらんでいくばかり。
しかし、それは姫が心から望むこととは、どんどんかけはなれていきます。

女性として最高の幸せといわれた天皇からの求愛も、姫にとっては何の意味もない。

しかしここで、では、姫が本当に望むものは何だっただろうか?という疑問が残ります。

夢とも現実ともつかない状態で、姫は幼馴染の捨丸に、「あなたとなら添うことができたと思う」と告白しています。
しかし、ふたりの生きる道はまったく違っていたし、捨丸にはその時、すでに妻子がいました。

個人的には、それは姫の、「そうだったら幸せになれたかも」な気持ちだったのだろうと思いましたが、だからこそ、姫は月に帰るしかなかったんだろうとも思いました。

捨丸は、木の工芸品を作るために山を転々とする集落の人間で、時には盗みをはたらき、飢えをしのぐことすらある生活です。

幼い頃から、食べる苦労も知らず、生きるために代償や犠牲をはらうことなく、守られ、愛され生きてきた姫に、生きるために戦うこと、生きるために苦しむことは理解できない。

その証拠に、彼女は求婚してきた公達を拒否し、天皇の訪問と抱擁を拒絶し、それでおのれの身のつらさに、「帰りたい」と願ってしまっています。

彼女は、ただのひとつも、自ら選択することもないし、自分に与えられた境遇の中で努力することも、戦うことも、はむかうことも、がんばることもしていない。

そんな彼女が、命つなぐために日々の暮らしを耐えることは不可能でしょう。

人として生きるということは、つらさや悲しみにも耐え、それを乗り越えてなお、笑顔と喜びを見出し、愛する人の幸せを願い、糸をつむぐようにして日々を重ねるということなのだと思います。

この映画は、かぐや姫という存在を通して、それを見事に描いていました。

この映画も多くの俳優さんが声をあてておられますが、まったく違和感なく、物語をそこねることもなく、素晴らしい演技でした。

翁の声は、故 地井武男さんが担当されていますが、あまりにも素晴らしい演技で、震えるほどでした。
あの声があったから、あの演技があったから、この映画はさらに素晴らしいものになっているのだと思います。

もう一度言いますが、大変地味な映画です。

しかし、恐らくアニメ史上に残る傑作です。

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