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生き残った人々に捧ぐ ~World War Z



ブラッド・ピット主演で映画化されたものの原作です。
「メタルギア」の小島監督も絶賛の原作。

この本、物語ではなく、ゾンビとの戦いに生き残った人々をインタビューしたものとしてまとめられています。

どうやら中国の奥地の村から始まったとされるゾンビ現象は、その直後から世界各地で同じ現象が始まり、あっという間に蔓延、地球はゾンビが人間を襲い、食らう世界と化します。
その感染力と生存力(生きてはいないが存在するので)は圧倒的で、人類はその存亡をかけてゾンビと戦うことになります。

この本はその“戦争”後に人々から当時のことを聞いたという形になっています。

噛まれたりして感染した人間は、すぐにはゾンビ化しません。
感染者は感染したことを隠そうとし、その家族はたとえ本人がゾンビ化しても、家族である事を断ち切ることが出来ずに共に逃げようとします。

それが最初の悲劇、大きな過ちとわかった時には、多くの人々がゾンビ化して取り返しのつかない状態になったことは、人々の口から語られます。

地下や施設に逃げ込んだ人々、船で逃げようとした人々など、密閉された空間であっという間に感染し全員ゾンビ化。
残った人々も、生きたまま食われてしまいます。

最初に事態の重さに気づき、いち早く対応したイスラエル。
多くの犠牲を意図的に作ることで、一部の人間を生かすという凄惨な方法を実行にうつした南アメリカ、その措置をとった他の国々。
国をあげて戦い、サバイバルしたキューバ。
逆に、気候的に優位な状況に甘んじた結果、ホワイトゾーン(ゾンビに制圧されたエリア)と成り果てたアイスランド。
国土を捨てることでサバイバルしようとした日本。
ゾンビという現実を受け入れず、兵士に無為な戦いを強いた中国。
いちはやく完全鎖国し、その後の状況がまったく不明なままの北朝鮮などなど。

それぞれの国がどのようにこの事態に対応したかが描かれています。

その一方で、それぞれがどれほどの戦いをしたかも、詳細語られています。

人工衛星に残ってそのメンテナンスに命を賭けた宇宙飛行士。
その身を犠牲にしても戦い、多くの兵士の命を救ったインドの将軍。
国民を見捨てることは出来ないと、最後まで逃げなかった英国女王。
ひとりで戦い、たくさんの避難民を連れて逃げてきたシスター。
ゾンビの真っ只中に墜落し、その中で生き延びた女性飛行士。
ゾンビを発見するのに多大なる貢献をすることになった犬を育成する人々。
英雄となった車椅子の男性。
生き延びた子供。

どの人も、壮絶な戦いの中で死に、生き延び、そしてその10年後という世界で“かつて”の事を語ります。

この本に登場する人々の職業や背景、国は多種多様ですが、どれについてもひじょうによく、細かく、専門的に語られています。
また、ゾンビという現実には存在しないはずの敵に対して、“どうやって戦い生き延びたか”がひじょうに具体的に語られていて、読んでいると、なにやら歴史を紐といているような錯覚に陥りました。

個人的に一番印象深かったのは、イギリスの古い城壁や城にこもり、そこで生き延びたという人々の話。
かつて城砦となっていたそれが、ゾンビ相手に生存をかけた固い守りを示したという語りは新鮮でした。

絶望的な状況の中で、自ら命を絶った人々や、狂ってしまった人々のことも語られています。
ゾンビが蔓延した状況の中、最も自殺者をだしたのが日本だったとレポートされるところ、「なるほどなー」と思いました。

この物語には、ヒーローはいません。
主人公は、生き残ったすべての人々です。

そして彼らは、これからもゾンビが存在する世界で、戦いながら生きていきます。

ここで語るすべての人々が、生き延びるために、あるいは誰かの命を救うために、自分にできるすべての事を、命を賭けて行ったということがわかる所で、なんとも言いようのない気持ちが生まれてきました。

最後に残った人々に、国も宗教も人種も国境もなくなったというあたり、皮肉ともとれるラストになっているなと思いました。

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