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アニメとGAMEとマンガな日々
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知ることの意義 ~フリーダムライターズ

2007年公開、ヒラリー・スワンク主演の実話を基にした映画です。

1990年代、激しく荒れていた頃のロスで、差別撤廃の新しいシステムのもとで運営される公立高校の生徒達の変化を描いたもので、情熱的な新米教師に導かれて、勉学にまったく意欲なく、将来に希望を持つことのなかった生徒達が大学進学まで出来るほどになっていく過程を描いていました。

家庭環境はもちろん、生きている世界そのものが、犯罪や麻薬、銃や殺人、ギャングや人種間争いまみれ、暴力と殺人、貧困が当たり前の生徒達に、勉強しなさいというのは何の意味も持たない言葉となっていました。
彼らが出来ることは、狭い世界で人種間で抗争を繰り返し、仲間というものに縛られ、軍に入隊するか、ギャングになって死んでいくかの少ない選択肢しかない。

公民権活動をしていた父親の影響を受け、聡明で高い志を持つ新米教師エリンは、荒廃した教室で孤軍奮闘します。
人気のラッパーの詩をとりあげたり、席を替えることで固定化した生徒達の関係を変えようとする。

しかしそれは、ユダヤ人虐殺もヒトラーの存在も知らなかった生徒たちには、何の影響も及ぼすことはありませんでした。
そして、そこがまさに、生徒達を動かす大きな鍵になります。

どんな人にも物語がある。

生徒たちに日記を書くことを義務づけたエリンは、その後、彼らにホロコーストがどういうものだったか、そこで生き残った人たちがどういう体験をしたかを、博物館に連れて行き、実際に生き残った人たちの話を聞かせることで、リアルに生徒達に教えていきます。

生徒たちは、差別され、家族と離れ離れになり、虐殺された人々、そこで生き残った人々、そして「アンネの日記」を通して、生きることへの戦いが、すなわち自分たちが置かれている世界や立場にあるものとは違う真実を知ることになります。
生徒たちは、歴史の中において抹殺されようとした人たちが、どれほどに誇り高く、自分を、自分たち以外の人間のために命賭けで戦ったかを知り、それに感動し、感銘を受けることで、さらに大きく成長していきます。

生徒たちのほとんどが、今在る自分のいる世界しか知りません。
そのために、おのれの人生の選択肢も、限られたものでしか捉えることができないでいます。
どんなにがんばってもそこから逃れることはできないという呪縛にも囚われていて、そのためにすでに多くのことをあきらめていました。

それは、彼らを信頼する人がいない、彼らを励ます人がいない、彼らに期待をかける人がいないという現実も、大きく関わっています。

失意の中、古い仲間の誘いに乗りかけていた生徒が、自分に対する評価を「失敗」と書いたことに、エリンは激怒します。
彼女はそれを、「あなたは私やクラスメイトたちに、ファックユーって言ってるのと同じなのよ!」と怒ります。
彼はその言葉に、自分を取り戻す。

学ぶことに意欲のなかった生徒達が、時間を惜しんで本を読む姿は感動的でした。

エリンに批判的なベテラン教師が出てきますが、彼女の言ってることも一理あると思って見ていました。
その人は、学校が平和な時代を生きてきて、教師が教師であるだけで尊敬される中で教師をしてきた人です。
暴力的で反抗的な生徒を指導するのがどれほどに大変なことか、彼女を見ていてわかります。

過酷な状況の中で将来の夢を持ち出した生徒達とは対照的に、エリンの夫はその夢を自ら捨てます。
どれほどにそれに向かって努力するか。
その夢がかなわないとわかった時、どうするか。
エリンの夫の姿は、生徒たちが今いる時間のもう少し先にある別の試練を見せてくれているなと思いました。


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