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成功しているドキュメント風 ~ラストエクソシスト

最近ホラー映画では流行のハンディカムで撮影された、ドキュメンタリー風映画です。
「REC」と同じく、取材でカメラマンが撮影しているという形をとっているので、映像はとても見やすくブレもないので、そのあたりは見ていて苦痛なしでした。

物語は、至って現実主義者、ビジネスライクな牧師が、ドキュメンタリーフィルムのために受けた1件の悪魔祓いの顛末を撮影したものって形になっています。

牧師はそも、信仰という意味では、神の存在にそこまでの宗教心はありません。
よって悪魔の存在も信じておらず、悪魔憑きについては心の病、あるいは救済を求める人のある種の方法と考えていて、悪魔祓いの儀式は宗教的な儀式ではなく、心の救済のひとつの方法として考えています。
宗教心に篤くなくても、牧師は善良かつ良心的な人で、自分がエクソシストを続けるのは、エクソシストの失敗によって命を失った子供がいたというのが大きな要因になっているとカメラに向かって語るシーンがあります。

事実、彼は善意の人です。
悪魔に憑かれたと思われるネルの狂気の言動にも「彼女を救いたい」と、ひるまず、恐れずに言葉をかけ、抱きしめます。

この映画のすごい所は、実はそこにありました。

動物を虐殺し、実兄にすら刃を向けるネル、しかし普段の彼女は素朴で純情な少女です。
最愛の妻を亡くし、人との関わりを嫌うようになって狂信的な考えを持つようになった父親に、世間から隔離されているネルが、その父親から性的虐待を受けてる可能性を示唆し、妊娠した子供の父親は誰なんだというあたりで、見ている我々は、ネルにおきていることは本当に悪魔の仕業なのか、それとも罪の意識におびえるネルの深層心理がそうさせているのかという疑問に向き合うことになります。

父親の行状は明らかに度を越していて、反抗的な兄の態度は父親から妹を守ろうとする行動にも取れます。

カメラに撮影されるものは現実で、事実なわけで、見ている我々は、自分の目に映るものが何を意味しているのかを考えることになります。
それがこの映画の“恐怖”の部分につながっていきます。

ホラーとしてはかなり地味な映画と思いますが、個人的には秀作と思いました。
あからさまな表現はないし、わかりやすい恐怖もありませんが、人間の悪の部分や悪魔という存在がどれだけ日常にとけ込んでいるのか、わかりにくいものなのか、そしてどれほどに簡単に自分がそれに巻き込まれてしまう可能性があるのかを見せてくれます。

この映画がとてもよく出来ているのは、明らかに危険を示唆する警告とも取れるものがあり、カメラマンがそれを指摘するのですが、牧師とレポーターの「哀れな少女を救いたい」という善意の心の前に無視されるところ。

この時、我々がカメラを通じて知りえるネルは、父親の性的虐待にその心を壊しかけている、誰にも助けを求められないかわいそうな少女です。
そんな彼女を見捨てることは出来ないという気持ちが、ラストの悲劇につながる展開は見事でした。

他の方の感想も読みましたが、キリスト教信者であるかどうかでも、この映画の見方は変わるという意見があり、それは確かにその通りだなと思いました。
そういうのもあって、私はこの映画にホラー色はあまり感じませんでしたが、違った視点から見るとかなり怖いかもです。

宗教心に薄かった牧師が、悪魔の存在を目のあたりにしたところで神の存在を信じるというのは、ひじょうに宗教的だなと見ていて思いました。

若干ツッコミどころがあるのは、あれほどに事態を懸念していた父親が、関係者の意図や存在に気づいていなかったのはちょっと疑問。
妹を守ろうとした態度を見せていた兄が、最後にした行為にも説明がつかないのもひとつ。

逆に言えば、説明がつかないことも恐怖のうちかもですが。


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