orb

アニメとGAMEとマンガな日々
MENU

あくまでもイノセント ~僕のエリ

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]
(2011/02/04)
カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション 他

商品詳細を見る

タイトルはあくまでも「僕のエリ」で。
その後のは、偽りありまくりです。
原題は「正しきものを招きいれよ」な意味。

以下ネタばれしますが、実は映画本編の日本公開版がすんごい重要な部分にぼかしをいれてしまっていて、映画の大事なテーマ部分がわからなくなってしまっているので、あえて晒した状態で感想書きます。

離婚した両親の間を行き来しながら生活しているオスカー、学校では陰湿ないじめにあっています。
孤独なオスカーは、隣に引っ越してきたエリという名前の少女にほのかな恋心を抱きます。
しかし、エリには大きな秘密がありました。

エリがヴァンパイアであるというのは、実は秘密でもなんでもありません。
彼女の父親にも見える壮年の男性が、見ている間に、恐らくはどこかでエリと出会って、彼女といっしょに放浪している人間だということがわかります。
そして彼は、エリのために人を殺して血を採取しています。

最近、いろいろいなヴァンパイアのタイプが映画に登場していますが、エリは至ってオーソドックスなヴァンパイアです。
ただしこの映画、エリの凶暴性も特殊な能力も、ほとんど描写されません。
血を吸った後の血みどろの様子を見せるだけ。

ホラーテイストの設定ではありますがこの映画、描くべき部分はそこではなく、あくまでも孤独な子供の魂のふれあいがテーマです。

エリは“たぶん12歳”。
まだ声がわりもしていない少年期のオスカーとともに、男とか女とかって域には達していません。
その年代でヴァンパイアになり、人間の世界の中で生きていかなければならないエリ。
自分のことでいっぱいな両親、学校ではいじめにあっていても、誰もそれに気づかない孤独な少年オスカー。
誰からも必要とされていない、誰からも注意を払われることもない、誰からも必要とされない、誰ともつながることのないふたりの子供が、お互いにたぐりよせていくように関わりを持っていく物語です。

舞台は北欧。
雪の中、映像は恐ろしいほど色がなく、青、白、黒がメイン。
音すらも、その静けさの中にのまれてしまっています。

この映画のすごさは、エリが少女ではないというところ。
最初からエリは、「自分は女の子ではない」と言っています。
オスカーがその秘密を知ってしまうシーン、日本版ではぼかしがはいってしまっていて、意味不明な状態になっています。
これは本当に大失敗。
映画の大事な部分をがっつり削除してしまってるような状態です。
エリは女の子ではなく、去勢された男の子です。

つまりこのエリとオスカーは、ヴァンパイアと人間、男の子と男の子という、つながりあうにはあまりにも難しい個であることがここでわかります。
安易にホモ視線で見ると、映画そのものが違ってきてしまいます。
オスカーはあくまでもノーマルな男の子であるというところがすごく重要。

ラスト、思わぬ展開が待っています。
最後のオスカーとエリの笑みが、実はものすごい恐ろしい現実のもとにあるということを我々が見せ付けられる。
見せ付けられるのですが、あまりにも美しいラストに、むしろ違う方向で呆然とさせられます。

オスカーのその後の人生がどうなるかは、見ている我々はすでにわかっているという映画の構成になっています。
それでもオスカーは幸せであることに変わりはないことも、我々にはわかってしまっています。

誰からも省みられることのない、誰からも大事にされることのない子供ふたりが、互いを絶対的な存在としてつながる様子は、あまりにも美しく、あまりにもイノセントで、そしてあまりにも哀しい。

秋にハリウッド版が「モールス」というタイトルで公開されます。
オスカー役は、あの「ザ・ロード」の子供を演じた子役。
これは見るしかない。

あちらこちらで賞を総ナメにし、公開当時も評判高かったこの映画。
叙情的かつ扇情的な描写と映像は、一見の価値あります。
名作。



スポンサーサイト

該当の記事は見つかりませんでした。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://orbyano.blog75.fc2.com/tb.php/3142-b9979c85