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理解できない…でいいと思う ~乙嫁語り3巻

今回は学者のスミスと、5人の兄弟と次々結婚しながらも夫全員を亡くし、義母とふたりで暮らすタラスの関わりを描いた物語でした。

今回の物語、我々の普通の感覚で捉えるとただの悲恋物語になっちゃいますが、実のところはもっとレアでコアな部分に食い込んだ話になっています。

我々読者は、同等の文化習慣と価値観のスミスに感情移入する形になりますし、当然理解の基本もスミスになります。
そこから見ると、タラスとの関わりは恋愛であり、彼女が最後のとった行動は“引き裂かれた”ということになります。

しかし異文化との関わりは、そういう視点で語れないものがあります。

タラスの側から見ると、スミスとの関わりは、最初っから“とりあえず現主権の義母が結婚を薦める相手”です。
義母の考え方ややり方はひじょうに短絡的ですが、彼らの結婚観から見れば、持参金もいらない、現状からタラスを救い出すことができる立場にあるスミスは、とりあえず現状いちばん結婚相手によい男になります。

スミスを好きだといい結婚を約束したはずのタラスが、いきなり義母と結婚して父親になった男の言うなりになって、結婚を破談してしまうあたり、アミルたちが「親がいうんだから仕方ない」「結婚は親が決める」とはっきり述べています。

つまり、彼らの結婚に対する考えは、そうであるということで、タラスがスミスとの結婚を許諾したのは、とりあえずそれまでの彼女にとって主なる親だった母親の薦めがあったからで、その主権が父に移り、父が反対したことで“なかったこと”になるのは自然、当然の成り行きで、タラスには「なぜ?」「どうして?」という意識はないでしょう。

しかし、彼らのそういう文化習慣、価値観を理解するにいたっていないスミスには、もちろんそんなのはわからない。
読んでいる我々にもわからない、わかりにくい。

よって、「本当に好きなら、親ふりきってもスミスについていくだろ?」な考えは、タラスやアミルたちにはハナっから存在していないという部分に考えが至るか至らないかで、今回の物語をどう捉えるかが完全に違ってきてしまうと思います。

実のところこれ、そういった意識や価値観の違い、国際結婚した人たちにはみなそれぞれにあります。

相手がアメリカ人だろうがイギリス人だろうが、トルコ人だろうがアフリカの人だろうが、相手が異国の人だとまずあって当然と言っても過言じゃない。
宗教違うと、さらに理解範疇範囲が広がります。

タラスとスミスの関係、どこかで修復してハッピーエンドになってほしいと願う読者も多いとは思いますが、私はこのまま終わるほうがリアルと思います。
異文化を研究しているスミスが、初めて肌感覚で味わった異文化、実際体験した価値観の違いとして、がっつり今後の彼に影響残してほしいです。

ちなみに私は読んでいて、タラスの最後の行動にも違和感ありませんでした。
そもそも、夫が死んだからといってたて続けて5人の兄弟全員と結婚するって考えは、我々にはない考え方です。
彼女の口から、夫たちに対する想いが語られるシーンはいっさいなく、思い出を語るシーンもありません。
それこそが、彼女の結婚に対する考え方と、私は読んでいて思ったりしていました。

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2 Comments

矢野トール says..."Re: はじめまして"
たらすさん、はじめまして。

コメント、興味深く読ませていただきました。ありがとうございます。

個人的には、私はタラスにまったく好感もたなかったのですが、文化的背景があったとしても、彼女の生き方、考え方はまったく理解できません。
たらすさんに言った、「呪われた女」というのも、言われてみてなるほどーって思いました。

基本、自由恋愛という考え方がない場所、時代でもあったと思うので、物語に描かれたあのエピソードは、一種象徴的な部分もあるかと思います。
ただ、他で感想を色々見て、あのふたりの関係を、今の我々日本人にあてはめて捉えている人がとても多くて、それには逆に違和感覚えた次第です。

タラスとスミスが今後どうなるかって、どうにもならんだろうとは思ってますが、続刊でちらっとタラスらしき人も出てたっぽいので、何かあるかもしれませんね。
2013.03.13 16:38 | URL | #- [edit]
たらす says..."はじめまして"
中央アジアは馴染みない地域ですが、遊牧民のレビレート婚は前から知ってました。今回はスミスが肌で異文化の違和感を感じるという意味で考えさせられ色んな意味で興味深いと思いました。
私は正直言ってタラスは呪われた女として厄介視されても仕方ない女性ではないかと思いまして、さすがに5人も夫に死なれた女て息子の嫁にしたいて普通は思わなそうですよね。叔父は横暴だったけど、タラスの厄介な事情につけ込んで、ただで嫁(義母に言わせれば労働力)にしようとしたのでしょうね。
3人目の夫と合わなかったそうですが、彼にしてみれば習慣に逆らえず、長男と次男のお古を押しつけられて内心心晴れず、愛情が湧きようがなかったのでしょう。人間ですから複雑な情はあったと思います。
女の私が言ってはいけないと思いますが、今の世の中フェミ左翼寄りの考えで女は弱者てよく言いますが、一言で本当にそうだとは言えないんですよね。
このレビレート婚て花嫁だけではなく夫になる男性も人権はないでしょう。誰でも少し考えればわかるけど、不思議な事に誰もこの事は言いませんよね。
男も家の為に犠牲になり、そうして子々孫々繁栄していくのが当たり前でした。
タラスも可哀想だけど亡くなった5人の兄弟と義父もそして義母も皆可哀想でした。誰も悪くない、運命だったんです。
ただ誤解しないで頂きたいのですが、家族は社会の一単位なので個人がばらばらに好き勝手生きれば家族引いては社会は崩壊するので、家族の掟団結は必要です。その国、民族の知恵が編み出したものは簡単に否定はできないと思います。
ただ本当にその掟が皆を幸せに導くものであってほしいと私は思いました。
スミスとタラスはどうなるのか、私も2人が結ばれなくてもおかしくないと思いました。スミスの家族も反対すると思います。
現代日本は恋愛結婚が主流ですが、自分の息子が次々夫に死なれる女と結婚したら誰も喜ばないと思います。遊牧民は死を当たり前として捉えているのでしょうが、息子は元気に長生きしていいお嫁さんをて思うあたりこんな私もつくづく情に駆られやすい日本人だなて思いました。
スミスとタラスの事は作者の力量次第で解決すればいいと思います。
私なら未亡人になったら別に再婚しませんが、遊牧民でお一人様て当たり前ではないのですかね?
願わくばタラスの次の夫は長生きしますように。そしてスミスも幸せになってほしいです。
長々すみませんでした。ご自愛されて下さい。
2013.03.12 22:08 | URL | #- [edit]

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